4輪のダンパーの取り付け位置について:

456/550のダンパーの取り付け位置について、

 

フロント:

ロアアームの物理的に許されるギリギリの外側端部に入力位置を設定し、できるだけロアアームに取り付けている限り発生するレバー比を少なく、ダンパーにダイレクトに入力されるように設計している.またダンパーの受けは大径のボールジョイントとし、ゴムによる逃げを排除し、全てをダンパーを介して作動するように設計されている.

Wウィッシュボーンとして、非常にオーソドックス且つ理に適った設計で、

60年代(グランドエフェクト以前)の見本とも言える設計をしている.

これは対地効果が作用しない(してもわずか)前提でメカニカルグリップを最大限に発生させるにはサスペンションを綺麗に上下動させ路面に接地させ続けることが必要であり、その目的に最適化された設計と言える.

 

リア:

リアの場合ステアリング機構が無い分設計に余裕があり、凝った(でもセオリー通り)設計をしている、

アーム類は位置決め以外には使用せず、ダンパーやスタビライザーはハブにダイレクトに取り付けられる.

これによりWウィッシュボーンにはよくあるアームへのダンパー類取り付けによって起こるレバー比作用を回避し、タイヤへの入力がダンパーやスタビライザーに直接入力されるように設計されている.

この設計はマクラーレンF1等にも見受けられるが、ちゃんと実現している量産車は案外少ない.

また、456/550はリアのロアアーム長が実測で約350mmあり、トランスアクスルの真横ギリギリに排気管を通して、その外側にメインフレームを置き、非常にタイトな配置をして、できるだけアーム長を稼ぐようにしている.(612以降はトランスアクスルと排気管、メインフレームの間隔はずっと広く、アームはずっと短い)

ロータスであればトランスアクスル真下までアームを持って行って、更に長大なアーム長を稼ぐところだが、フェラーリにしては、もの凄く頑張った設計と言える.

 

456GT-リア
456GT-リア